2014合同教研閉幕 ~憲法と子どもの権利条約を生かし、子どもと教育を守るとりくみに力を合わせましょう~

11月8日~9日、札幌学院大学を会場に、「2014年合同教育研究全道集会」が開催され、2日間で延べ1259人の保護者、教職員、研究者、各界のみなさんが参加しました。レポート総数は201本となり、今年から札幌学院大学に会場を移したこともあり、学生の皆さんの参加やレポートも目立ちました。

今年の合同教研は、安倍内閣が管理の競争の「教育再生」を推し進める中での開催となりました。私たちはこれらの目的が「戦争する国」をつくり、一部の大企業のための「エリート人材育成」のため、教育を政治利用しようとするものであることを明らかにしてきました。そして子どもたちの成長・発達を保障するための教育はどうあるべきか、全道各地でいとなまれている実践を持ち寄り交流しました。

教育の夕べでは、名古屋大学の中嶋哲彦先生が「憲法改悪と安倍『教育再生』にどう立ち向かうか」と題して講演をいただき、自民党憲法改正草案の問題点や教育委員会の制度の実態と可能性が確認されました。「ぼんやりとした不安を感じていたがその具体はわからないままだった。講演を聞いて何とかしなくちゃと確信を持てた」「教育委員会を開放して子どもや地域の声に向き合えるようにというのは新しい視点だった」との感想が寄せられました。

今教研を通じて明らかとなった安倍「教育再生」のねらいを跳ね返し、子どもたちを人間として大切にする教育とそのあり方について職場や地域、家庭で話し合い、憲法と子どもの権利条約を生かし子どもと教育を守るとりくみに力を合わせることが求められます。

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教育の夕べ ~いちばん大切にしたい子どもたちの育ち、豊かな成長期を奪う安倍「教育再生」戦略~

「憲法改悪と安倍『教育再生』にどう立ち向かうか」と題して行われた「教育の夕べ」での中嶋哲彦名古屋大学教授の講演では、「自民党憲法改正草案の条文に、改憲勢力の『本音』が見える」と9条や25条、26条がとりあげられました。

「『国防軍』を掲げ、『自衛権の発動を妨げるものではない』と言い、『領土、領海及び領空を保全し、その資源を確保』という、戦争する気満々の9条改正案」「それに続く26条(教育に関する権利及び義務等)では、『権利としての教育』から『国が求める国策遂行の手段』としての教育への変質の意図が透けて見える」とー。

「26条改正案に3が加えられ、『国は、教育が国の未来を切り拓くうえで欠くことのできないものであることに鑑み、教育環境の整備に努めなければならない』としているのがそれ」。昨年10月には教育再生実行会議が高校と大学の接続について答申。大学入試についても「再構築」が必要とし、エリートコースとノン・エリートコースに切り分けようとしている。大学も格付けで分断が図られ、一握りの選ばれた大学には、選ばれた高校からしかすすめなくなる。

高校でこうした「振り分け」が行われることになれば、小学校期、中学校の子どもたちもいままでどおりというわけにはいかなくなる。もはや、「迷いながら」「悩みながら」すごし、人間として成長する、かけがえのない青年期は、なくなる。

これと国家主義的・規範主義的国民統合(道徳の教科化)とが重なれば、まさに「国策遂行の手段」としての教育が現れる。

「修身が筆頭教科だった時代が想起される」「いちばん大切にしなければならない子どもたちの育ち、豊かな学びが奪われることになる。それは、なんとしても阻止しなければ」という熱い訴えでした。

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テーマ討論⑤ 学校、地域で「アイヌ民族」を学ぶ

テーマ討論⑤ 学校、地域で「アイヌ民族」を学ぶ アイヌ文化振興法から17年、アイヌを先住民族と認める国会決議から6年。今年は小学校社会科副読本における「アイヌの人たちの歴史・文化等」の記述内容の分析と学習状況の交流を柱に、アイヌ民族をめぐる教育がどのように展開されてきたかを検討しました。3名の大学生から、家庭や地域におけるアイヌ文化との出会い、学校でのアイヌ学習の体験について報告をうけ、学校教育の果たしてきた役割、現状と課題について討論を深めました。「人権・民族と教育」分科会の共同研究者の方は、道内の社会科副読本でアイヌの歴史や文化がどう記述されているかを報告。全体として記述内容が改善されていることが示されました。討論では、副読本編集の経過と学校現場での活用状況について特別発言があり、小学校段階でのきっかけづくりの重要性が再確認されるとともに、その後の中高大での体系的な歴史・文化学習のあり方について活発な意見交換が行われました。

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テーマ討論④ 教職員で支え合い、子どもたちの学ぶ喜び、豊かな学びをめざして

テーマ討論④ 教職員で支え合い、子どもたちの学ぶ喜び、豊かな学びをめざして では、高校の先生から「競争主義や成果主義が薄く、生徒の問題でほとんど困ることのない地域です。子どもたちが転校生をうまく受け入れ、みんなでつつみこむことが自然とできている」と紹介がありました。職場では組合員が増え、危機感や問題点を共有することができるようになったことも述べられました。フロアーからは、「教師が教科書に縛られた授業をしている」「授業での問いと答えが近すぎて、自由に考える時間がない。日本の教師は思考停止状態」などの指摘が出されました。学力テストなどによる競争主義教育で、多くの教師や子どもたちが苦労しています。参加者がパネラーから多くのヒントをいただいたテーマ討論となりました。

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テーマ討論③  安心して“たすけて!”といえる子ども・保護者・教職員・住民の関わりあいをめざして

テーマ討論③  安心して“たすけて!”といえる子ども・保護者・教職員・住民の関わりあいをめざして では、 スクールソーシャルワーカーの方から「子どもの“たすけて!”をたぐっていくと、離婚・失業・単親家庭・保護者の病気などにたどり着きます。先生の“たすけて!”をたぐっていくと、不登校・勉強からの逃避・暴力・あれなどが出され、たぐっていくとやはり保護者家庭の困難にたどり着くことが多い」と報告がありました。「保護者の教育相談で語り合っていくといつの間にか相談者自身の相談になることがしばしばです」とも述べました。コーディネーターの方は「告発型ではなく“たすけて!”という声に応える取り組みから学びあおうという場になったのではないか。子どもの貧困は、親……社会の貧困。子どもの貧困をなくす運動を進めていくことと“たすけて!”を支える取り組みの両面が求められているし、その取り組みにより、支えられた人が支える側に立つことも展望できるのではないか」とまとめました。SONY DSC